義犬伝説
宇多天皇より犬鳴山の勅号を賜る
天徳年間(957〜961年)、紀州のある猟師が鹿を追って滝のあたりに来た時に、連れていた愛犬がうるさく吠えたてました。
そのせいで獲物を取り逃した猟師は、怒って犬の首を刎ねてしまいました。愛犬の首はそのまま踊り上がって、今にも猟師を呑もうと狙っていた大蛇に噛みつき、大蛇もろとも息絶えてしまいました。
犬が吠えたてたのは、主人の危急にいち早く気づき、救おうとしたからでした。この心を知った猟師は悔いて修行者となり、愛犬をねんごろに供養し、また自分の田地を不動堂に寄進しました。この時より宇多天皇より犬鳴山の勅号を賜りました。